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2003年7月11日に行われた、産婦人科ドクター、低用量ピル服用者、服用経験者、非服用者、女性誌担当者によるディスカッションの模様です。

概要
テーマ 妊娠、女性の健康、低用量ピルのイメージなど議論しよう!!
日 時 2003年7月11日(木) 19:30〜21:00
場 所 東京・ラウンジアンクルハットLounge Uncle Hat(スパイラル)
参加者
ドクター(コーディネーター) 小林秀文先生(四谷レディスクリニック院長)
ドクター(オピニオン・ドクター) 篠崎百合子先生(しのざきクリニック院長)
服用者 Aさん、Bさん
過去服用経験者 Cさん
非服用者 Dさん、Eさん
女性誌担当 Fさん、Gさん、Hさん、Iさん

目次
はじめに
飲み始めるきっかけ
子宮内膜症
副作用と副作用
低用量ピル使ってみませんか?(1)
低用量ピル使ってみませんか?(2)
低用量ピルが広く使われるためには
相談できる産婦人科ドクターを持とう
通院
男性も理解を!
毎日一錠飲む
とりあえず試してみては?
月経のしくみを理解しよう!
パートナーとの関係
最後に
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はじめに
小林先生 四ツ谷の駅前で産婦人科をやっています。来ている人はほどんどの方が20代、30代で若い人の雰囲気です。「産婦人科だから内診がどうしても必要」と言い切りませんし、「何か心配なことがあったら気軽に相談に来てください」という感じでやっています。これで開業して8年目です。
ピルは99年の日本で解禁されたときから処方しています。いま現在、延べで800人弱使っている方がいます。別にピル専門というわけでもありませんが、けっこう患者さんが来てくれているので、患者さんから教えてもらっていることが多いです。
産婦人科の医者の中でも「ピルなんてとんでもない。こんな薬は別に使わなくていい」という立場の先生もいらっしゃるようです。ぼく自身は別に積極的にどんどん使いましょうというわけではないのですけれども、「日本でもう少し普及してもいいかな」と思っています。
篠崎先生 篠崎クリニックの篠崎と申します。私がピルとのかかわりの最初は97年に設立した「性と健康を考える女性専門家の会」です。ちょうどピルの解禁の2年前でして、低用量ピルが発売前の臨床試験が終了して数年以上たっているのに、一向に認可されないということに疑問を感じていた先生と助産婦さんやそういうことに関心のある専門職の方たちが集まって立ち上げた会です。ピルが認可されていないというのは北朝鮮と日本だけと言われていた時期がありましたが、しばらくして北朝鮮も認可され、日本は避妊に関して、後進国であるということを実感した次第です。
おととしの10月に開業しました。大病院で扱うような病気以外にも女性の避妊を含めたクオリティ・オブ・ライフに関わる月経周期や、現代病とされる子宮内膜症で案外悩んでいる女性が非常に多いことに関心を持ってやっています。
小林先生 低用量ピルを使っている患者さんはどれくらいの数になりますか。
篠崎先生 ピルユーザーは、累積するとかなりの数になると思います。必ずしも経口避妊薬として使っていない人、子宮内膜症治療として使うこともあります。しかし、避妊目的のピルの割合も半年前から増えてきています。
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飲み始めるきっかけ
小林先生 本日は服用者の方2人いらっしゃっいます。飲むきっかけ等聞かせていただけますか。
服用者A 私は、最初の目的が避妊ではなくて生理不順を治すことでした。お医者さんから、自分の体の調子を整えるために使ってみたらどうですかと言われ、副作用のこととかも気にはなりましたが、先生が勧めるんだったら別にそんなに体に悪いもんじゃないんだろうなと思って使いました。
小林先生 使ってみてどうでしょう。
服用者A 使ってみて、最初のころは自分の体でちょっとだけおかしいな。めまいがしたりとか、むかむかしたりというのはありましたが、1、2か月たって、普通に飲んでいて何も自分の体に異変がないのに気がついて、普通に飲めるようになりました。
小林先生 生理はちゃんと来ますよね。
服用者A はい。昔はけっこう2、3か月に1回の周期でしか生理が来ませんでした。また生理痛も来たときがすごくて。それで、飲み始めてからは毎月きちんと生理が来るようになり、生理痛も以前に比べるとかなり楽になりました。まったくないわけではないのですけれども、体は楽になりました。
小林先生 服用者Bさんは、外国で使っていて、日本でまた使っていると事前にお伺いしましたが、そのへんはどうでしょう。
服用者B きっかけは、子宮内膜症になったことですね。6か月ぐらい、ものすごい我慢していたんですね。最初のお医者さんに行って、「いますぐ手術して取ってください」と言われ、手術をしました。
小林先生 そのころは、すぐ次の日に手術しましょうだったんですね。
服用者B ええ、すぐ。もう倒れる状態で病院に行きました。我慢して、我慢して。我慢し続けたのが悪かったと思うのですけれども、ほかの人に言えないような症状でした。生理痛がひどいというよりも、あまりきれいな話ではないのですが、2時間後に、出血が多過ぎて会社のいすが汚れるぐらいにひどかったです。私も若かった所為か、それでも言わないで我慢していましたら、約6か月後にはもうほとんど歩けない状態になっていました。
小林先生 生理痛といっても、まあ病気ですよね。女の人は会社でそれを言えない雰囲気はあるのですか。
服用者B あります。主に男性が主導権を握っているところで働いていたこともあり、言えませんでした。みんなの時間に合わせなければいけないし、土日も休みがない状態でした。その後、会社の抱えている主治医が紹介状を書いくれて、そこで出会った篠崎先生から初めて子宮内膜症だということを知りました。
小林先生 手術のときに説明はなかったんですか。
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子宮内膜症
服用者B 子宮内膜症って言われませんでした。篠崎先生にお会いして、ダナゾールという薬を使ったんです。篠崎先生はいろいろなことをはっきりと言ってくださるので、私はものすごく信用しました。そして症状もものすごく改善しました。ただし、生活状況が変わらないので、根本の問題はきっと変わっていなかったような気がしていました。
小林先生 それはダナゾールでということですか。
服用者B いや、ダナゾールではものすごくよくなりました。ダナゾールのときは、先生から服用する前に副作用があることを最初に教えてもらいました。
小林先生 「太りますよ」、「にきびが出ますよ」と…
服用者B いろいろおっしゃられたとおりに、かなりありました。その後長期休暇が欲しいと思いまして、無謀にも仕事を辞めて日本を出てヨーロッパに行くことになりました。出国する前にいろいろピルの説明を受けていたことと、現地から電話をしてアドバイスを受けながら、現地の病院の処方で飲みはじめました。
それから、3年後ぐらいに篠崎先生にまたお会いして診ていただいたら、ほとんどきれいに治っていました。
篠崎先生 きれいになっちゃったよね。
服用者B それで全然生活も楽になりました。1か月のうち1週間ぐらい苦しいわけですよね。その無駄な時間が本当になくなりました。
小林先生 子宮内膜症という病気は、ようするに本来子宮の中にある子宮内膜が、子宮以外の、例えば卵巣にあったりすることです。そうすると、生理で出血するときに卵巣の中にある内膜でも出血を起こすわけですね。生理の血液は子宮膜から出ていくことができますが、卵巣の中の内膜から出血したものは出ていくところがないんですね。それで、ものすごくお腹が痛くなる。そして、卵巣に血液がたまって腫れてきます。そして生理痛でものすごく転げ回る、仕事は手につかなくなる状態になります。
さっきおっしゃったダナゾール、ボンゾールという薬が特効薬として出てきたんです。これが今から18年、20年になるかな。
篠崎先生 80年代ですね。
小林先生 特効薬で内膜症だけに効き、例えば卵巣にある内膜をなくしてくれるという夢の薬ですが、副作用もものすごい。いわゆる男性ホルモンなので、太ってくる。にきびができる。声が男の人みたいにかすれる人もあるし、効果はあるけれども副作用も多い。だんだん改良されてきて、いま使われているスプレキュアとかナサニールというお薬も出ていますが、ただ、非常に高価です。月に何万円かかってしまう。
それで、いま話をされたみたいにピルを使うと、症状は非常に改善されます。それから、安価です。何万と何千円の差がありますから、続けることができます。だから、子宮内膜症の人にとっては、非常にいい薬だと思います。
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副効用と副作用
小林先生 過去服用経験者Cさんは、いま使っていないのですね。
過去服用C もともと自分の意志で始めたわけではない。私はまだ婦人科系のことで悩んだことがなくて、かなり順調に生理も来るし、生理痛とか経験したこともないし、そのときも彼氏もコンドームを使っていました。しかし、実家が産婦人科ですので解禁するにあたってはじめてみました。
 ただ、私は喫煙者なので、そのへんをかなり注意されました。親としては、たぶん私がたばこも一緒にやめてくれたらラッキーという気持ちがあったのでしょう。私も好奇心が強いほうなので、おもしろいなと思って……。
小林先生 で、使ってみて?
過去服用C 全然生理とか悩んだことがなくても、量が減ったり、かなり体も楽になりました。私の気のせいではないと思いますが、脱毛の期間がちょっと長くなったような気がしました。
小林先生 多毛症には効くけれども、普通の人にも効くとは、ぼくは知りませんでしたね。
過去服用C 気がついたら、次に脱毛する期間が長くなったし、毛も細くなったと思います。あと少しブラがきつくなったかな。ちょっと胸が大きくなったようなきがします。けっこう、私の友達で飲んでいる人もみんな、胸が大きくなったと聞きました。
小林先生 たまにあるみたいですよ。「先生、胸大きくなりますか」って。逆に胸を大きくしたいから飲みたいと言って来た人もいますから。
女性誌I それは太ったというのと違うのですか。
過去服用C いいえ、違います。
小林先生 太る心配される方が非常にいますよね。実際問題、1年目には必ず体重を測らせてもらいました。使う前と実際に比べてみると、たしかに太る人もいます。でも、完全にやせる人もいます。統計上は全然意味ないです。そういう副作用はないです。
女性誌I 低用量ピルが解禁になったときに、私も記事で取材させていただきした。いろいろな取材や資料を拝見する中で、副作用が気になりました。特に太るという項目は、読者も一番気にしているとは思いますが…。でも、太ることはないんですね。
小林先生 太りませんよ。ぼくも実際には心配していましたが、太る人は太りますが、それをピルのせいにしているなというのは明らかですよね。特に30代ぐらいになってくると、女性は太りやすくなるから、それをピルと結びつけてしまう人はけっこういるみたい。
女性誌I お使いになっている2人の方も、使って少し体重が増えているというのはありませんでしたか。
服用者B 自分の怠慢かなという感じですね、太ったというのは。
服用者A 1、2キロぐらいなので、それは自分の怠慢かなという感じですね。
小林先生 それでどうして飲むのをやめられましたか。面倒くさかった?
過去服用C いや、たばこ。
小林先生 たばこをやめなかった。
過去服用C だんだん飲むことに慣れてきて、一方でたばこは完全にやめていたわけではありませんでした。ただ、飲み始めた当時は1日5本くらい吸っていたのが、だんだん7本になり、10本になり、増えていきました。以前と同じぐらいの喫煙量に戻ったころに、これはたばことピルを一緒にやっているせいだなという症状が出始めてしまいました。
小林先生 どんな症状ですか。
過去服用C ふくらはぎがつるっていうか。たばこを吸っているときにちょっと無気力になる。
小林先生 ピルをやめればなくなりましたか。
過去服用C なくなりました。
小林先生 じゃあ、関係あるのですね。
過去服用C それも1日1箱ぐらい吸っていました。でも最近お肌が荒れ、親から「ちょっとホルモンのバランスが悪いんじゃないか」と言われました。私も気になるので、もう一度服用するものいいかなと思っています。
篠崎先生 にきびの治療には使われることがありますよね。
小林先生 逆にピルを飲んで、それからちょっと吹き出物が出るいる人もいますよね。
篠崎先生 一時的みたいですね。やめようかどうしようかと言っていて、通常、2、3か月続けていればだいたいのトラブルはなくなると言われています。
小林先生 たばこですけれども、中用量ピルの統計では、35歳以上の人で、喫煙者と非喫煙者、1日15本以上吸う人と吸わない人を比べると、15本以上たばこを吸う中用量を使っている人に血栓症が起こりやすいという有意差があるという統計が出ていますね。
低用量ピルに関してはまだ出ていません。ましてや日本人の統計はまったくないわけです。ただ、医者として健康を考えると、「たばこをやめて、ピル続けませんか」とお薦めしますね。
過去服用C 当時、私が自分自身で始めたのわけではなかったからですね。自分が月経とか生理痛で悩んでいたら、私はピルをとっていたと思います。
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低用量ピル使ってみませんか?(1)
小林先生 ところで、ピルを使ってみようかなという気になりませんか。それとも産婦人科に行くのに抵抗がありますか。
非服用者D 生理痛がひどくて産婦人科に行ったことがあります。最初に行ったところは家の近所の大きい都立の病院でした。でも、ちょっと心もとないことというか、胸が痛くなるようなことを言われ残念に思い、嫌悪感を覚えました。ただし痛いから、鎮痛剤をずっと飲んでいました。それもだんだん効かなくなりはじめ、他のお医者さん探しました。そして自分で行きやすいところをみつけました。「ある程度痛みが我慢できるか治まるんであれば、鎮静剤にする、又はピルもあるけれどもどうする」って聞かれて、よくわからないこともあり鎮痛剤を選びました。それが去年の夏ぐらいことでした。
小林先生 それは病院から出ている鎮痛剤? 市販の鎮痛剤?
非服用者D 病院……。
小林先生 病院から出ているのはけっこう劇薬で強いものではなかったですか。
非服用者D …タブレットでした。
篠崎先生 そのときに診察は受けられました?
非服用者D 受けました。
篠崎先生 それで、特に病的な原因がないからどっちでもいいというような選択ですね。
非服用者D そうですね。
篠崎先生 自分で決めればって。
非服用者D そのときはよくわからないし、すぐ痛みがなくなり、面倒くさくない方法。ピルというのはずっと飲み続けなければいけない、1日でも飛ばすとよくないというのを雑誌とかで見たことがあったので、じゃあ鎮静剤のほうが手軽でいいと思いました。
小林先生 そこで、ピルを1か月でも使ってみて、試してみませんかという話はなかった?
非服用者D 特に強要されたわけでははなくて、「どっちにする?」と言って私の意思を尊重してくださいました。私が聞きたいと言ったら、説明していただけたかもしれませんんが、特に。
篠崎先生 私もそういうスタンスですね。みなさん内診は嫌がりますが、1回はします。そういう所見がなければどっちでもいいという感じですよね。しかし、案外、初期の子宮内膜症が見つかる患者が多いです。そうなると、一応病気ですので、それを放置しないほうがいいわけですよね。鎮痛剤を飲んで痛みは取れても病気は進みます。しばらく妊娠する予定がない方には治療目的で話を薦めることは多い。
いまの女性は20代前半で産む人は少なくて、ちょうどキャリアを積んだところで、子供がほしいなと思うことがある。そのときに、妊娠可能な状態にできるということが最大の目的ですね。だから、ちょっとでも疑わしい病気があるというのはさっさと治療を進めますね。
小林先生 子宮内膜症や卵巣のがんが増えている理由は、むしろ女性が子供を産まなくなったことに原因があるのではないか。いまの日本女性は毎月毎月月経、つまりすごくたくさん排卵しているんですね。太古の人はそんなにたくさん生理もなかったし、子供もある程度たくさんいて、生理の回数ももっと少なかったはずです。これが本来の人の一番自然な形かもしれませんね。あらゆる避妊は不自然ですが、ピルを使うと、卵巣はその間排卵しませんので、そういった状態を作ることのほうが、むしろ自然に近いという考え方もあります。
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低用量ピル使ってみませんか?(2)
小林先生 ところで、非服用者D さんは。
非服用者D 私は生理痛もひどくなく、特に病気もありません。使うとすれば、避妊目的でしょう。自分の意志で避妊ができることはいいと思いますが、相手に説明できる知識がないと、ちょっと特定の相手が決まっている場合には、彼に納得してもらわなければ使えないかなと感じがします。
男性のほうは、自分が避妊しているという意識があるので、100%妊娠しないと思っていられるのですけれども、働く私にとっては、100%自分で、自分のリスクというのはあると思います。
小林先生 「彼が」というのは、「彼は100%コンドームで」と思っているんですね。
非服用者D と思っていると思います。ピルつまり薬はあまり好きではないので、薬まで飲まなくてもいいのではないかと。まだ全然そういう話はしていないので。
篠崎先生 避妊という目的からいうと、確実なほうがいいわけですね。最終的には女性の体ですから、確実な方法で言えば、いわゆる近代的な避妊法の中にはコンドームは入っていないのです。日本だけが、避妊法の中のコンドーム使用率が9割近いという、世界の避妊法と比較すると独特ですね。
では、カップルが1年間で避妊に失敗してしまう率で比較すると、コンドームは12〜14%ぐらい。100人いると10人ぐらいは、例えば破損や、周りに残る等々で、結局失敗することになります。そういう場合は緊急避妊というのがありますが、緊急避妊で来る人の話を聞くと、圧倒的にコンドームが多いのです。
ピルのほうは、基本的に飲み続けていただければ、理論的には、もちろん100%ではないですけれども、98%ぐらいです。
ですから、近代的な避妊法で一番確実なものの一つは手術で卵管をしばってしまうという方法。でも可逆的なものならば、ピル、経口避妊薬が一番確実です。次がいわゆる出産した後の人ですと、子宮内避妊器具で、毎日薬を飲まなくて済みます。
コンドームは世界的には性感染症の道具として、それはそれで現代においては必要です。ただ、それだけでは避妊は確実ではないことも知っておいたほうがいいし、彼も知っておかれたほうがいいですね。
小林先生 コンドームというのは、第2次世界大戦のときに病気を防ぐために兵隊さんに配られました。みんな使い方を戦地で覚えてきた。これで避妊をして、赤ちゃんができなくすることもできるし、性病も防げるということでパーッと広がりました。
篠崎先生 外国ではエイズのような問題も非常に深刻です。だから、避妊はピルで、感染症の予防はコンドーム。この二つでやれば、自分の体を守ることができます。ピルを飲んだから大丈夫というわけではなく、性感染症は防げないことは、ちゃんと知っておきたいですね。
参考:「避妊法のパール指数」【各種避妊法使用開始一年間の失敗率(%)】
方法 理想的な使用(%) 一般的使用法(%)
コンドーム 3 14
経口避妊薬 0.1 5
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低用量ピルが広く使われるためには
小林先生 実際問題、ピルが出て3年たった。ヨーロッパではごく普通に使われていますが、日本の場合そこまでならない。OC情報センターまで作って啓蒙運動しなければならないのは、さてどうしたのかしらということになるわけです。
統計を見ると経済的なことも考えられますね。価格が高い。独身の人が月に1回か2回しかセックスしなかったらコンドームでいいじゃないかという判断もあるかもしれないです。それから、まだ相変わらず副作用。本当は、実際に使ってみたらそうでもない。でもまだ普及がいまいちですよね。まだはっきりしませんが、何か日本独特の問題があると思われますね。
篠崎先生 案外正確な情報がまだまだ不十分だなと感じますね。女性誌もたくさんありますが、肝心の健康、体のことになるともう少しという印象を受けてしまうんですよね。
服用者B 健康に対する情報が足りないかもしれませんね。
小林先生 あと、避妊は男の責任ですかね。
篠崎先生 彼女を大事にする彼ほど、ピルを飲むという、そんなことまでしなくてもいいよとなるわけですよ。実はとてもいいメリットがあるのに、逆に彼女のことを思って「体のほうは大丈夫かな」と心配するわけですよね。体に悪いというイメージが強く、ちょっと心配な部分があるわけですね。
女性誌I もちろん情報を女性が知りきれていなくて、「避妊薬」というイメージが非常に強いけれども、日本の女性は自分で避妊しようという積極的なイメージを持っている人はまだまだ少ない。特に若い20代、30代はまだ少ないと思いますね。それよりは、生理が楽になるとか、自分の思うように、計画がたてられるとか。旅行のときの生理は非常に不都合ですから。生理痛が非常に軽くなりますよとか、わかりませんけれどもお肌がきれいになりますよとか、そういう薬として使えるという話をもっと情報として伝えていったほうがいいと思います。そういう使い方はよくないことでしょうか。
小林先生 それでいいと思うし、そういう目的で使っている人はいっぱいいるし。
女性誌I そういう形で処方されるというのはあまり多く聞きませんよね。
小林先生 ありますよ。
女性誌I 先ほどの非服用者D さんのように、鎮痛剤とピルとどっちかと聞かれたときに、ついまだ鎮痛剤を選んでしまう。
小林先生 それに漢方も加えて三つぐらい、ピルを使ってもいいし、鎮痛剤を使ってもいいし、漢方もある。漢方は効果が不確かとかなんとか、全部情報源を与えて、それで決めてくれでいいし。
ピルを飲んでいるのが当たり前という状態には、日本の場合、なるのかならないのかわかりませんけれども、外国をまわるとそんな状況がありますよね。普通に飲んでいて、妊娠している可能性のある女の人はピルを飲んでいる。もうかしたら男性のほうが頭の切り替えが必要なのかもしれないと思いますね。
また、そのへんの特集とか組む可能性はありますか。
女性誌I 特に今は決めてないのですが。発売のときはいろいろとりあげてきました。
小林先生 あのときにワーッと出ましたね。
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相談できる産婦人科ドクターを持とう
女性誌I ええ、出ましたね。ただ、妊娠、出産を経験している人でもピルに対して抵抗がないとは言えません。
小林先生 ぼくがいつも、「気楽に相談できる産婦人科の医者を1人つかまえておいたら楽だよ」という話を患者にしています。女性の体のことを一番わかっているのは、少なくとも産婦人科の医者です。内科医も歯医者さんも同じかもしれないけれども、産婦人科の先生1人、何かのときに相談できる人がいたらいいよという話は言っています。
篠崎先生 ピルの処方をきっかけに、そういう感じにはなってくる可能性はありますね。イメージ的に、今まで悪すぎたのでしょう。
小林先生 例えば「旅行があるから生理をずらしたい」ということから産婦人科との付き合いが始まってくれればいいなと思っています。
篠崎先生 そのようなことがきっかけに、案外産婦人科へ行きやすくなるかもしれない。はじめはちょっと、どうしても勇気はいると思いますね。ああ、どうってことないなということがわかれば、何かあるとすぐに来やすくなる。相性もあるかもしれませんが、1回行っておけば、2回目、3回目と。。。
小林先生 宇多田ヒカルのホームページを見ると書いてありましたね。お化け屋敷みたいにちょっと怖い感じがするけれども、入ってみるとどうってことないって書いていますよね。だから、あんな感じで本当に気楽にくればいいなと思いますね。
篠崎先生 今までの産婦人科の医療が、そこまで明示されていないとは聞きますよね。外国なんかはどうですか。
服用者B 大きな病院に最初に行くということはなかったですね。ホームドクターみたいなところで話し合うのが先です。日本みたいにいちいちあれこれ調べてそのあとに薬を出すというそういうものありません。
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通院
服用者B 日本の場合、とても面倒くさいですよね。毎月健康保険証を出してくださいとか。産婦人科に行って、ピルの処方をしてくださいと頼むのに1か月分しか出ないところもありますよね。
小林先生 ぼくは最初1か月。まず合うか合わないかわからないから1か月使ってみてもらいますよ。1ヶ月後に「どうでしたか」と聞いて、何もなかったならば、半年ぐらい渡しています。
篠崎先生 要するに健康保険のお薬は今まで14日まで。今回の体制でその締まりがなくなったけれども、自費診療というのは自由、そのクリニックに任されている。
服用者B じゃあ、病院に行っただけで、例えば大丈夫だという人には、同じピルを6か月分もらうこともできるんですね。
篠崎先生 実際やっていますね。
小林先生 ただ、6か月は長いので、何かあったらメールや電話で必ず相談してくださいと言っています。
服用者B あとは医薬分業として日本の薬屋さんは薬と病院と分かれたと言っていますが、実際には病院の向かい側にある薬局、門前薬局みたいなところで買っていますよね。ピルは普通の薬局で買えないことが多いのではないですか。欧米あたりだと処方箋1枚持っていれば、その日にお金がなかったら買いにいかなくていいし、お昼休みに買いに行くこともできる。
小林先生 現実問題として、日本では何もかもそろえているような薬局はないでしょう。だから、当然この病院で出たら、ここへ行くことになりますね。
女性誌I ピルの場合は、処方箋なしで病院以外の場所で手に入れられませんよね。そんな面倒な手続きが必要なのは、日本だけだと聞いたことがありますが、海外ではもっと手軽に入手できるシステムがあるのでは…。
小林先生 海外も処方箋いりますよ。
篠崎先生 イギリスはパブリックで運営されているところではただという話を聞いたことがあります。ただしシステムが国によって違います。
小林先生 イギリスも医療制度は全然違いますからね。まず、さっきお話しされたみたいにパッと大病院に行くことは絶対にないですね。ホームドクターが必ずいて、その人が全部管理してくれていますから、子供のときから知っているという感じですね。
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男性も理解を!
小林先生 何かほかにありますか。
服用者B 男性誌とかへのアプローチはだめですか。女性はそういうふうに見られたくないと思うので、男の人の意識も変わらないと普及しないと思いますね。
小林先生 状況をもっと講じたほうがいいですね。男性側の意識がかなりブレーキを踏んでいるなと。
篠崎先生 男性誌ではまだあまり取り上げられない。
小林先生 いや、それは記事にならないでしょう。
服用者B 私はまだだと思います。それを飲んでいることがいけないと思っている、そういう考え方がすごく見えるのです。ピルが避妊薬としても有効だけれども、婦人科系の病気を治すよと言えば、考え方は少し変わるかなと。
過去服用C 避妊が目的でピルを飲んでいる女性は、男性に聞かれたとき、こういう現状あるよといえる。
服用者B 避妊のためって当たり前のことだと思うのですけどね。
過去服用C まだまだ自分の意志で避妊をするというのは、「意識が高い女性」というイメージではなくて、「性に対してすごく興味を持っている」と思われがちかもしれませんね。
篠崎先生 「自分以外の人とも・・・」と勘違いが起きる。ただ、ピルを飲んでいることを言ってもいいし、言わなくても、本人の自由という気もしますけれどもね。
女性誌I 今までコンドームですんでいた避妊が、自分が積極的に動いて避妊のためだけに産婦人科に行って、待たされて、ある程度の高額なお金を払ってしなければいけないということに、まず一つ大きな意識改革が女性として必要ですよね。その敷居は非常に高いのではないかなと思います。だったら、生理が軽くなるときにも使えるからというような情報がほしい。避妊というイメージだけだと使いにくいのでは…。
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毎日一錠飲む
女性誌I あと、毎日飲まなければいけないというのが面倒くさいというのがありますよね。
篠崎先生 たぶん日本人はほかの民族とくらべるとけっこう几帳面だと思います。だから、他国では毎日飲むのが大変といってすごく苦労している人もいるみたいですね。だけど、先生のほうはどうですか、私のほうは1人だけ「毎日飲めなかった」という人がいましたね。
小林先生 何か日常生活に必ずすることといっしょに飲むようにすれば・・・
篠崎先生 いつ飲んでもかまわないし、自分が気に入った時間に飲む。いつでもかまわないので、例えば、寝る前や歯を磨くときに飲むとか。
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とりあえず試してみては?
篠崎先生 いろいろ処方していると、こちらもすごく勉強になります。生理前のイライラ、月経前症候群がなくなる人が、100%ではありませんが、7、8割ぐらいです。月経前症候群は「痛い」わけではないから医者があまり本気でとりあげない病気ですが、その時期は調子が狂い、実際に困っている人もいるのです。そういう人に「低用量ピルを試してみたら」ということは言っています。
1か月という単位での薬で、可逆性があるものなので、試しに飲んでみるのは全く問題ないという気はします。結局、自分が生活を変えるものなので、自分で決めればいいと思います。
一番喜ばれるのは、生理痛が確実に軽くなること・・・
女性誌I 生理日も自分でコントロールできる。
篠崎先生 そうですね。結局、28日周期になってきますから。
女性誌I そのときに生理を起こしたくないといえばできますよね。
篠崎先生 そういう情報がもっと知れ渡るといいと思うんです。
女性誌I そのときに生理を起こしたくないといえばできますよね。
篠崎先生 よく未婚の人がやるのが多いのですが、、結婚されている方でも、例えば小さな子供さんを連れてプールや海へ行って一緒に遊びたいときに、ピルを使って予定を立てる。この時期が生理だとわかるので、予定が立てやすい。
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月経のしくみを理解しよう!
女性誌G お若い方のほうがピルの必要性を理解できるのではないかと思います。そのためには、女性の体のしくみ、つまり自分の体を理解することからはじめないといけないと思います。生理のしくみがわかった上で、低用量ピルを必要とする意味も理解ができる。ピルの理解につながるし、パートナーと共に協力して避妊もできる。
女性誌H 妊娠・出産を経験した女性であっても、妊娠や月経のしくみをよくわかっていない場合がよくみられますよね。そのしくみを理解すればもっとピルに対する理解が深まると思えます。出産をピルで計画的に考えて飲んでいるのか、副効用のためなのか、または子宮内膜症のような病気のために飲んでいるのか。そのしくみさえわかれば、もっと広い意味でピルを理解できる。
篠崎先生 月経という現象はわかっても、それがどのような機能だというのはわかりづらいですよね。
小林先生 排卵、性器、月経周期について皆さん大半数知りませんよね。初めて聞いて「ああそうなんですか」ってね。
篠崎先生 それが一般ですね。
小林先生 そうですね。
服用者B 学校でもやらない。小学校5年生か6年生ぐらいのときって、生理の話とかしますよね。あのときにピルについては私の時代はしなかったですね。とてもおいしかった。
篠崎先生 オランダは性教育の先進国らしいのですが、思春期ぐらいのムラムラしてくる時期だともう遅く、もっと自然に低年齢のときからわかっていたほうが、自分の体も大切にするし、そういう兆候を自分でキャッチし、対処する。ということもあるのかもしれませんね。
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パートナーとの関係
小林先生 日本人のセックスや避妊に対する考え方と、アメリカ人、ヨーロッパ人の考え方とはかなり違うような感じがしています。話したことはありませんが、日本人の場合、彼らほどエネルギッシュではないというか、セックスに対しても、淡白かなという気がしています。だから、そこらへんの問題を解決していかなければいけないと思うし、性教育の問題も全部かかわってくる、というのがぼくの最近の考えです。
要するに、毎日アイラブユーと言わなくなったとか、そういう日本人の男性観。男性も考えたらなぁ。
篠崎先生 だいたい親子関係のほうが重視されがちですよね。あと後ろめたいとか、そういうちょっと古い慣習や制度がありますよね。ジェネレーション的に。
女性誌F 「自分のために使う」と言っていいと思います。男性は変わらない。変わるとすれば、変わらざるを得ない環境があるからです。それに、飲んでいることを別にパートナーに言わなくてもいいですよね。どっちにしたってコンドームをつけるのだから。
篠崎先生 そう。それで、逆に「じゃあいいんだね」というのもおかしい。
女性誌F おかしい話ですよね。そうしたら、それは別に黙っていて。いつの間にか男の子が気づいたら、「お前も飲んでいるのかよ」ぐらいな。何がそっちのほうが現実的かなと思いますね。
女性誌G 20年前に中用量ピルを毎月1回処方してもらいましたが、そのときの状況や理解はと今とそんなに変わっていないのは、逆にびっくりするぐらいですよね。
篠崎先生 ただし10代が変わってくるような気がします。ジェネレーションの違いがちょっとずつ現れてくる。
過去服用C 女性だけが副作用のあるピルを飲んで、「男性は何もしないのか」という議論もでてきそうですね。
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最後に
篠崎先生 ユーザーが変わらないと、変わらない。ユーザーが変わることに合わせるために医療側も変わらざるを得ない、生き残れない、そういう変化のさせ方がいまの時代、一番いいのではないか。変わりやすいところから変わる。ユーザーが賢くなっていくというのは必要ですね。自分の体は自分で守る。いま自己責任の時代になってきていますから。
小林先生 僕がきょう勉強になったのは、男性側の意識、それがけっこう左右されるなことですかね。男性側のセックス観とか。
だいたいそんなところで時間もきているのでそろそろ終わりましょう。本日はどうもご苦労さまでした。

2007年度版 低用量ピルに関する意識調査 2005年度版 低用量ピルに関する意識調査
2003年度版 低用量ピルに関する意識調査 2001年度版 低用量ピルに関する意識調査
女性の健康に関する意識調査 ディスカッション

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